司会

 ありがとうございました。

 さて、この京都創生につきましては、現在国政レベルにおきまして、自民党・公明党の国会議員の皆様により歴史的都市維持・再生議員連盟が、民主党の国会議員の皆様により国家戦略としての京都を初めとする歴史都市再生国会議員連盟を設立いただいております。
 本日は衆議院議員の伊吹文明様からの御祝電を頂戴致しておりますので、御披露させていただきます。

 京都創生推進フォーラムの開催御苦労様です。規制緩和、市場化により効率を求める流れの中で、人間の自己抑制・品性を失った場合の怖さを正しく認識せねばなりません。私たちの祖先は、世間様を見据えて謙虚に暮らしてきました。この京都人的生き方の伝承、その育ての母たる京都の再生は、まさに国家戦略です。
 一方で、京都より劣悪な県民所得、地域経済の下にある他県の納税者を創生プロジェクトに引き込むには歴史的都市の今を預かる市民がいかなる義務を果たし不便に耐えているかをこのフォーラムを通じ明確にして頂くことを期待します。
 フォーラムの御成功と御参加の皆様の御健勝をお祈りします。
 平成17年11月9日

歴史的都市維持・再生議員連盟幹事長、衆議院議員 伊吹文明

 以上、御披露させていただきました。

〈拍手〉

 また、本日は参議院議員の福山哲郎様、松井孝治様、お二方の秘書の方々にもお越しいただいております。

〈拍手〉

 ありがとうございます。
 それでは、ここで京都創生百人委員会の梅原猛世話人代表から市民の皆様に対するメッセージを頂戴したいと思います。梅原先生は、京都創生懇談会の座長として京都創生の提言を取りまとめられました。また、文化勲章を受章された日本を代表する哲学者であり、現在も国際日本文化研究センターの顧問として御活躍されております。では、梅原先生よろしくお願いします。

メッセージ:京都創生百人委員会世話人代表 国際日本文化研究センター顧問 梅原 猛

 3年ほど前でしょうか、桝本市長さんからこういう国家戦略として京都を創生するという案を聞きまして、これこそ私の長い間の念願だと思いまして、即座に賛成したわけでございます。私は京都芸大の学長として歴代の市長さん、舩橋さん、今川さん、田邊さん、それで桝本さんに至るまでずっとお付き合いしてきましたけれど、かつての市長さんにもこういうことをやったらどうかと言ったんですが、前の市長さんたちは大変遠慮がちな人でありまして、それは厚かましい願いだと。いや、京都をよくすることは日本をよくすることだ、京都を知らせることは日本を知らせることだと私は言っていたわけですが、今回大変実行力ある桝本市長によりましてこのプランが実現された。

 京都という都市は世界に例のないような都市です。こんな美しい、しかも1000年の間都があった、そんな都市はどこにもないですよ。フィレンツェや長安でも都はとっくに無くなっているんです。しかし、京都は1000年の都があって、今でも生きているということ、それが大事なんです。そして風景もすばらしい。京都は長安・洛陽に従って造られたと言いますけれども、長安・洛陽とは全く違う。長安・洛陽は周りに山がありません。あってもはげ山ばかり。京都は東に比叡山、西に愛宕山というすばらしい山がある。京都は自然に囲まれて、しかも歴史的にすばらしい。
 例えば東寺というお寺があります。真言宗の本山ですが、この東寺は空海によって創られたままほとんど変わっていない。面積も変わっていない。建物もほとんど変わっていない。そして京都には仏教の本山ほぼすべてある。天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗、臨済宗、ここにないのは曹洞宗だけ、そしてまた由緒ある神社もたくさんある。上賀茂・下鴨の賀茂大社というのは伊勢神宮よりはるかに古い、日本建国の深い秘密を宿している由緒ある神社であります。そして伏見稲荷、北野天満宮など、すばらしい神社を持っている。
 そして日本の芸術もここで育った。源氏物語もここで書かれている。そして古今集以来の勅撰集はすべて京都でできた。こういうすばらしい都市が、しかも現在まだ生きているのです。そして極めて創造的な活動をしている。学問も芸術も、そして産業も。学問だって芸術だって東京に負けやしない。私の学問も京都で育ったものであり、私は京都の出身ではありませんが、東京で学んだら私のような学問はできなかったと思っております。芸術も学問も先端産業もここで生まれた。そういう都市が一都市の予算だけではやっていけない。また室町時代のすばらしい「わび・さび」の文化もここで生まれた。それが茶道や華道になるんです。こういう文化を京都だけで維持しきれない。こういうものが国家の保護を受けるのは当然です。今憲法を改正して伝統を大事にしろという動きがありますが、伝統を大事にすることは京都を大事にすることです。国家戦略として京都を大事にしなければいけない。非常に実行力のある桝本市長、そして大変若くて実行力ある山田知事、そして商工会議所の大変文化に理解の深い村田会頭で、この時代に何か一つの足がかりを作ってほしい。京都は全体が博物館のようなものです。だから、その博物館の情報をまとめて、歴史情報センター如きものを考えればいいと思うのですが、桝本市長の下で、山田知事や村田商工会議所会頭の力を得て、京都創生の一歩を始めてほしいと思います。

 それには京都市民が燃えなくてはならない。そしてそれは京都の産業、そして京都の観光の発展に利することになります。京都市民の皆さん一人一人に強い情熱を持っていただいて、何とか京都を立派な都市に再生させて、古文化財を保存して、しかもそこからまた新しい文化を生んでいく活力にしていただきたいと強く望んでおります。

司会

 梅原先生ありがとうございました。今一度大きな拍手をお願いします。

〈拍手〉

 梅原先生、御登壇の皆さん、ありがとうございました。
 次第に従いまして進めて参りたいと思います。まずは、基調報告です。内容は「京都創生について」。本日のテーマであります京都創生の目的や必要性、これまでの経過などにつきまして、報告します。報告は京都市総合企画局の白須京都創生推進室長です。よろしくお願いします。

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