吉澤

 上村さん、ありがとうございました。

 今日は会場にもいろんな活動をしていらっしゃる方々がたくさんお見えです。ここで会場の方から御意見を何人か承りたいと思っております。
 最初に、西陣の町家文化の維持に努めていらっしゃいます冨田屋の駒井さん、いらっしゃいますでしょうか。駒井さん、よろしくお願いします。

駒井

 皆様こんにちは。私、冨田屋という呉服商をベースにして町家文化事業を行っております会社に勤務している者でございます。私どもの会社は明治18年に建てられまして、約130年という非常に古い町家でございます。ここを5年前に国の有形文化財の指定を受けまして、そしてそれ以降皆様に公開をして、中の見学をしていただいている訳です。
 私どもお客さまがお見えになられましたら、まず130年伝わる代々からの町家のしきたり、行事等のお話をさせていただきまして、そして奥深い空間でありますうなぎの寝床の御案内をさせていただいております。約40分から45分かけてお話を進めていくわけですけれども、皆様非常に感銘を受けていただきまして、「こういう町家を守らないといけないね」ということをお客様からまた改めて知らされることが多いわけでございます。

 この町家の中では1年間の行事を欠かすことなく蔵から出したり入れたりしながら行っておりまして、もうすぐ12月になりましたら歳徳神という方位の神様の神棚が出るわけですけれども、これは本当に見ないとわからない、お話だけでは伝わらないというものでございます。あとまたお雛様が出たり、大将さんが出たりと、1年間非常に地味な仕事でありますけれども、非常に忙しい1年間を送っております。そしてこの町家の中には形だけではなくて、代々から伝わる亭主のいわゆる精神性、その家の生活の知恵と精神性がやはり非常に息づいておりまして、そういう空間にいますと、昔々に忘れていた思いが蘇ってくるという、懐かしさの中に改めて守っていかなければいけない、改めて日本人だなという、自分自身と向かい合える空間というのが息づいております。
 ぜひ一度皆様もこういった所に足を運んでいただきたいなと思いますが、併せてこういう町家はたくさんのお客様が海外からもお見えいただきますし、もちろん国内からもたくさん来ていただいております。そこで、建物だけではなくて、そういった内面的なものをお客様にお伝えするわけですが、それは今後の京都創生に当たっての子供たちのやはり学習の場としても今後十分に生かせる空間ではないかというふうに考えております。よく夏休みとか春休みに子供たちが土曜塾を利用しましてお勉強に見えられます。お母様もそういう空間というのは御存じありませんので、お母様がまず感動されて、それにあわせて子供たちもいつもはやんちゃなんだけれども、非常にお行儀がよくなられて、しっかりとその1時間余りの時間を過ごされて、お茶席に入られても非常にお茶の心が自然と伝わるのか、楽しんで帰られます。

 いつぞやは神戸の小学生が夏休みの研究発表ということでお見えになられまして、その時にその生徒さんが発表したことが神戸市で評価されまして賞をいただいたという御報告をいただきました。こういうことがありましたら、まずは京都の子供たちがこういったものを率先して教育委員会なりが何らかの優遇をして、そういう機会を多くつくっていただく。やはり言葉ではなくてみずから見てそれを体感することが何より子供たちの勉強にもなりますし、そういう子供たちがそういったものに触れることによって感受性と豊かな人間性を養える非常にすばらしい機会になるのではないかというふうに考えております。そういう子供たちが今後京都の創生のリーダーとなってくれることをやはり願っております。

 もう一つは、やはり維持する事と保全する事とのいわゆる矛盾というのがありまして、守っていかなければいけない、でも守れないという、これが現実でして、西陣の方でもこの数年来すばらしい建物が維持できなくて、気がつくとマンションに、荒れ地になっているという非常に悲しい思いをこの数年致しました。これはやはり一個人では何もできませんし、まして小さい企業、何も手を尽くすすべがないというのが現実でございます。そうなってくると、やはりバックアップしてくださる団体さんなり京都市が御協力をいただけたらと思います。ありがとうございました。

吉澤

 そうしましたら、他の方にもお願いしたいと思います。町のブランド化に取り組んでいらっしゃいます楽洛まちぶら会の大島さんいらっしゃいますでしょうか。お願いします。

大島

 楽洛まちぶら会事務局の大島と申します。今回報告させていただく事例が京都創生というテーマに合うのかどうか非常に心配しておるんですが、取組の内容、その組織の主体と思いについて御報告させていただければと思っております。

 この中にも、もしかして御覧になっていただけた方がいらっしゃるかと思うんですが、今年の9月の中旬に三条通の壁面に映像を照射するライトアップの取組をいたしました。今年で2回目だったんですけれども、三条通の大体烏丸から三条京阪まで、2回目の今回は56画面のプロジェクターを使った映像の照射による明かりの演出を行いました。1回目はちょっと地域の方から学生のイベントと変わらへんなみたいな厳しい御意見もいただいたんですけれども、今年につきましてはプロの映像作家も御参加いただきまして、質的にも多くの人に喜んでいただける取組になったのかなと思っております。
 体制につきましては、「三条あかり景色」についてはまちぶらのスタッフ50人に加えて、ボランティアの学生さん延べで300人ほど手伝っていただきました。3日間開催したんですが、合計15万人の方にお越しいただきました。単なるイベントではなくて、目的は地域の方のコミニュケーションツールになっていくこと、それと新しい夜の景観を提供すること、それと新しい夜の町中の楽しみ方というものを提案しながら、京都の町中のブランドが提案できないかなという社会実験のような取組を展開して参りました。

 何で生まれたのかと言いますと、KBS京都の「どうする京都21」という討論番組がございますけれども、そこの番組からきっかけに生まれたグループでして、最初6人で始まったんですけれども、だんだん口コミで広がっていきまして50人を超えるメンバーになりました。主要なメンバーは学生さんから企業の役員まで幅広いんですけれども、私のような30代、40代が主要なメンバーで運営しております。

 感想というか、感じていることなんですけれども、意外にこの30代、40代の世代というのは京都が好き、京都のために何かしたいという人が実はたくさんいらっしゃるんですね。ただ、どういうふうに参加していいかわからへん、どういうふうに取り組んでいいかわからへんという方がたくさんいらっしゃる中で、何かまちぶらという面白いものがあるらしいでというのを聞きつけて、結構ワーッと広がっているところがあります。いかに多くの人を巻き込んで取組を展開していくのかということについて僭越ですけれども、何らかの参考にしていただければと思っております。

吉澤

 どうもありがとうございました。そしたら3人目にお願いしたいと思いますが、京都龍馬会、武山さん、いらっしゃいますでしょうか。

武山

 皆さんこんにちは。NPO京都龍馬会のたけちゃびんこと武山峰久でございます。

 京都龍馬会は12年たちました。結成して、発足して10年、その時にNPO法人化しまして2年になりました。龍馬会について詳しいことは名前のとおり龍馬のファンクラブからスタートしております。これにつきましてはインターネットを御覧になれる方はぜひホームページを見ていただいて、そしてCRKラジオ関西「幕末ファンクラブ」という番組のホームページ、これは私がパーソナリティーをしていますので私物化しておりまして、ここのホームページは全部龍馬会の幕末散歩というイベントの写真になっております。それをまた見ていただければ京都龍馬会というのがどんな活動しているかわかっていただけるので、龍馬会については詳しく申しません。

 そして今力を入れておりますのが観光京都、ちょっと人が増えているらしいんですけれども、中身がどうかなということに気づきまして、私たちは私たちができる提案をしようということで、幕末散歩というのを10回続けて参りました。年内にもう1回、11回目を開催したいと思っています。特別編としてこの19日の土曜日の午後1時、四条河原町阪急前に集まりまして、先ほど道端さんから御紹介がありました木屋町通、四条から三条、二条にかけて、この間をずっと御案内して参ります。その間にある幕末の時代、ある一時期、文久2年、3年、慶応3年、4年、そのあたりまでズバッと幕末で切りまして、ほかの時代は全部カットします。私この格好で御案内致しますので、目印にはなりやすいと思います。お1人様千円整理料を頂戴致しますが、そういう幕末散歩、京都の町の中には、ある先生が言われました。つまずく石にも千年の歴史と言われておりますが、本当に一杯あるんですが、京都の方に聞きますと、「国家戦略、大層なこっとすな。京都創生、ええことどすな、まあおきばりやす」というのがほとんどです。自分の町でありながら知らないこともたくさんある。じゃ知っている者がこんなにおもしろいものがあるよということをお伝えして回ろう。それが京都龍馬会の場合は龍馬を中心にした幕末の歴史、ここで僕たちは自信のあるところでみんなにこんなおもしろいものがあるよというのを伝えていこうと思っています。

 そのコースで一つ御紹介します。後藤象二郎という人の邸宅跡の石碑がビルの工事で消えました。どこに行ったかわかりません。ですから、その近所の人しか知らないんです。それをみんなに教えることによって伝わっていきます。たくさんの人に知ってほしいんです。そういう場所がまだまだあります。今のうちに知ってほしいんです。これが京都龍馬会の幕末散歩です。

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