皆さん、こんにちは。門川大作です。暑い中、このようにお集まりいただきまして、心から御礼申し上げます。また、代表の立石会頭をはじめ、運営委員の皆さん、ありがとうございます。
私たちは、「国家戦略として京都創生」ということを国に対して要望しています。全国一律の建築基準法や相続税では京都を守れない。この京都の素晴らしさは、日本の、世界の財産であり、それにふさわしい法制度や特別な助成制度を整備してもらいたい。
そのように国に要望しておりますが、何といっても、この京都創生の主人公は京都市民の皆さんや京都の関係者の皆さんであります。こうしてフォーラムに参加いただく皆さんこそが何よりの力であり、今日のシンポジウムを大いに期待いたしております。
最近、京都に来られる方々に、「この10年、ごみが減って京都のまちは美しくなりましたね」と、おっしゃっていただきます。「世界の京都・まち美化市民総行動」に参画される方がどんどん増え、京都のまちが美しくなってきています。
また、こんなことを最近聞きました。「京都のまちにふさわしくないなと思っていた、京都駅近くのチカチカと光るパチンコ屋の看板が撤去されましたね」。うれしいなと思いました。「新景観政策」は、いろいろな議論がありましたが、5つの条例をつくり、高さ制限、あるいは7年間の猶予期間を置いて屋上の看板は全部撤去するなど、さまざまな取組が着実に進み、京都のまちがきれいになってきました。市民の皆さんには、大変なご負担をかけることも事実でありますが、こうした取組が、京都の都市格向上につながることを確信し、力強く、ぶれることなく推進していきたいと思っています。
そして、この素晴らしい京都の魅力を、私たち京都市民が再確認すると同時に発信していかなければならない。この間、文化団体や大学、さらに経済界の皆さんと一緒になって、様々な取組を進めてきました。
昨年の「京都 知恵と力の博覧会」も、府市協調、経済界との協調のもと大成功しましたし、今年は、8月6日から15日まで「京の七夕事業」を開催いたします。観光業界等からも注目していただき、京都の夏の風物詩として定着するよう努力してまいります。
そして、来年2月には、東京で京都の魅力を発信しようと、東京に進出している京都の企業等の皆さんとともに「京あるきin東京」というイベントを開催します。東京で京都の魅力を感じていただき、その方々に、ほんまもんの京都に来て守っていただこうという取組です。しっかりと推進していきたいと思います。
また、先だって上海へ行ってまいりました。上海では2007年からALTM(アジア・ラグジュアリー・トラベル・マーケット)という世界のラグジュアリー層を対象にした旅行博と商談会が開催されています。世界の旅行関係業者など1千人が集う博覧会、商談会です。そこで京都の魅力を発信してきました。同時に、ALTMを京都で開催してほしいと誘致してきたのですが、ハードルもたくさんあるなと感じました。向こうの代表に、「四つ星、五つ星のホテルが、京都にはいくつありますか」「円高ですが、開催コストはどれぐらいかかりますか」「セキュリティーはどうなっていますか」と聞かれました。コストでは上海に太刀打ちできず、国の支援なしには実施できません。
しかし、京都には1200年を超える京都ならではの文化の蓄積があります。宿泊施設も、100年、200年の歴史を誇る料理旅館が多言語対応し、欧米のホテル並みのセキュリティーを確保する、そんな取組がいま進んでいます。
私は、こうした取組を,経済界をはじめオール京都で進めていかなければならないと思います。それが京都の都市格を高め、また厳しい状況にある伝統産業、伝統文化を再確認し、後継者を養成していくことにもつながると思います。
最後に、このフォーラムが、そうした役割を果たしていただいておりますことに心から御礼申し上げますとともに、今日のフォーラムを機会に京都創生の取組がさらに前進するよう、私どもも努力しますので、引き続き、皆さん方のご支援、ご指導をよろしくお願いします。
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