香文化は日常生活にも溶け込んでいます。仏教行事と線香の香りは切り離せませんし、『源氏物語』に登場する香りの文様があしらわれている和菓子も多くあります。
歌物語『伊勢物語』なども含め、有名古典は日本人の心のよりどころであり、普遍的教養として京都文化の背骨のような存在になっています。残念ながら、時代の変化が京都にも押し寄せ、伝統文化を理解しようとする意識が世代を超えて薄くなりつつあるのが現状です。
室町時代において、公家や僧侶中心に広まった北山文化が包含され、新しい庶民文化も融合しながら東山文化へと発展していったのは、日本文化史上大きな転換点ではないかと考えます。今後京都創生を考える際にも、伝統文化の根本に立ち返りつつ、新たな方向を探っていくべきでしょう。
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