「祭り」=「神様を身近に感じられる時」というものが、生活の中に毎年繰り返されてあることが、すごく大事だと思っています。なぜこれを千年以上も繰り返し祭りをしてきたのか、その理由としてよく言われるのは「原点に帰る」ということです。その原点をコミュニティーの中で毎年確認する、ということだと思います。
祭りは毎年繰り返され循環しますから、私たちの心が、あるいは町中がもう一度新しいエネルギーを吹き返す作用があるのだと思います。それは年に一度というサイクルに限りません。祇園祭などでも再興されました。再興するということは、エネルギーをもう一度吹き返すということであり、それは現代においてもとても大事なことだと思っています。
「人々の祈り(=神様とつながる)」、「人を楽しませる芸能」、「民から集めたお金で壊れた橋などの復興工事をする(=公共工事)」、そういったものが一体になった「勧進」というシステムがあったのですが、今の時代とても示唆的に感じます。文化と経済の循環は、かつては当たり前のようにあったのだと思います。しかしながら、今文化と経済といった時に、実は「学問」という要素が欠けてしまっているのではと感じています。
戦前の商人の方々、皆さんお茶とか能とか、様々な伝統文化を嗜んでおられましたが、そこには文化と経済の循環、そして学びがあったと思います。単に論理的な学びだけではなくて、身体感覚も含めた総合的な学びを、お茶や能、色んなものを芸能に詰め込んで、学び、また伝えてきたのだと思います。
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