司 会

 ありがとうございました。それでは,パトリシア・フィスター先生によります講演に移らせていただきます。フィスター先生はアメリカ合衆国オハイオ州のお生まれでいらっしゃいます。昭和58年5月,アメリカ・カンザス大学東洋美術史研究科博士課程を修了され,白鳳女子短期大学助教授を経て,平成13年4月からは国際日本文化研究センター助教授を務めていらっしゃいます。専門分野は日本美術史で,現在は尼門跡と尼僧の美術をテーマに研究をしていらっしゃいます。著書には『尼門跡と尼僧の美術』や『近世の女性画家達―美術とジェンダー―』などがございます。また,宝鏡寺さんの宝鏡寺人形展運営委員会員や,コロンビア大学中世日本研究所研究室長も務めていらっしゃいます。本日は「尼門跡と京都」をテーマにお話を伺って参ります。それではフィスター先生,よろしくお願いします。

講演:「尼門跡と京都」〈講演要旨〉
フィスター

 本講演は京都の尼門跡寺院や尼僧たちの美術を取り上げました。尼門跡寺院とは,基本的に皇族あるいは貴族出身の女性が創建した尼僧院を指します。このような寺院に住み宗教的生活を実践した尼僧たちは,何世紀にもわたり日本の仏教の歴史に多大な功績を残しました。また,美術の面においても作者と庇護者の両方の立場で興味深い歴史の一章を綴りました。尼門跡は特に江戸初期に栄え,後水尾天皇,後西天皇などの内親王・皇女たちが数多く入寺して尼僧となりました。仏画,仏像,肖像,経典,名号,法語,和歌,漢詩,刺繍など,幅広い分野でこの皇女尼僧たちによって創造された,宗教的,または世俗的な作品を紹介しました。これらを通じて尼僧たちの生き方,修行方法などが明らかになりました。

司 会

 ありがとうございました。それでは,先生にもう一度大きな拍手をお願いします。以上をもちまして本日のセミナーを終了させていただきます。本日はありがとうございました。

(了)

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