皆様こんにちは。今日はようこそお越しいただきまして誠にありがとうございます。京都市長の桝本_兼でございます。日本人の心のふるさと、京都。我が国の伝統文化、先進文化の基点都市。京都は今、さわやかな秋空の下、豊穣な実りの秋の馥郁とした香りに包まれております。この良き時に京都創生推進フォーラムを開催させていただきましたところ、お忙しいにもかかわりませず多数の皆様にお集まりいただき、心から御礼申し上げます。また、本フォーラムの開催に当たり、代表をお務めいただいている村田純一京都商工会議所会頭をはじめ運営委員の各団体の皆様、並びに関係者の皆様に大変な御尽力を賜りましたことに深く感謝申し上げます。

　京都市ではこれまでから市民の皆様と共に、歴史都市・京都の魅力を守るために様々な取組を進めて参りました。しかしながら、近年のグローバル化の進展や生活様式の変化などにより和の文化が衰退をたどるなど、このままでは我々が長年にわたり培ってきた日本の財産であり世界の宝である美しい景観や伝統文化が損なわれ消えてしまうかもしれないという大変厳しい状況に直面致しております。

　平成15年6月、我が国を代表する哲学者で文化勲章を受章されております梅原猛先生を座長とする京都創生懇談会から国家戦略としての京都創生の提言をいただきました。私は京都を日本の文化の象徴として守り育て未来に引継ぎ、世界に向けて発信する必要をうたったこの提言を早急に具体化することこそが、京都市長としての私に課せられた最も大きな責務であると認識し、平成16年に京都創生策（案）を策定致しました。京都創生を国家戦略に位置づけ取り組んでいただくよう国に働きかけております。少しずつ成果が実りつつありますが、しかしながら、国に依存するだけではなく自立した都市として京都市もその独自性を発揮し、景観・文化・観光の3分野で精力的な取組みを展開致しているところでございます。

　まず、景観に関する取組みとしましては、他都市のように無秩序に高層ビルが林立することのないように、時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会を設置し、我が国で初めて市街化区域全域における建築物の高さ規制や地区の特性に応じたデザインの見直し、屋外広告物の規制など全国をリードする景観政策の歴史的な転換を図ることを決断致しました。また都心部、いわゆる歴史的都心地区をトランジットモール化する。つまり公共交通機関以外は乗り入れを禁止するということで全国に前例のない115ヘクタールもの広域な地域を、歩いて楽しめる歩行者天国、毎日が歩行者天国、そういうことにするために、大変な障害物となっております放置自転車の総合的な対策を推進し、全国のモデル都市を目指しているところでございます。今後は審議会での御議論を踏まえながら市民の皆様の御理解を得つつ、京都の景観の将来を見据えた大事業を全身全霊で推し進めて参る決意でございます。

　次に文化・伝統産業に対する取組と致しましては、文化芸術の都・京都の創生を図るため本年4月に制定致しました京都文化芸術都市創生条例、そして全国で初めて作りました京都市伝統産業活性化推進条例等に基づきまして、我が国を象徴する伝統と文化が息づく歴史都市京都を次世代にしっかりと受け継いで参る所存でございます。

　最後に観光でございます。おかげをもちまして昨年度の入洛観光客数は過去最高の4700万人を10年計画の5年目にして突破しました。5000万人観光都市の実現に向けて大きく前進し、年間の経済波及効果も一兆円を超えるということになりました。引き続き本年1月に策定致しました後半部分の新京都市観光振興推進計画に基づきまして多彩な取組をより一層強化して参りたいと考えております。

　一方、京都市会におきましては全会一致で国家戦略としての京都創生の実現を求める御決議をいただき、国政レベルにおきましても地元選出の国会議員の力強い御支援の下、自民党、公明党の100名を超える国会議員の先生方、並びに民主党の40名を超える国会議員の先生方により、それぞれ議員連盟を設立していただくなど大変な御支援をいただいております。このような中、京都を愛する市民の皆様方自らが京都創生に積極的に取り組んでいただき、世界に誇るまちを作るために様々な分野で御活躍されている皆様が集い、京都創生推進フォーラムが設立されました。これまで多くの力強い御賛同をいただき、現在、会員数は団体・個人など合わせまして約500にあがっております。本日は活発な御議論を通じて、お集まりの皆様の交流が一層深められ、その連帯の輪がより大きく広がっていくことを期待しております。

　結びに皆様との確固たる連携により、また、京都市会の皆様方との緊張した議論を深め京都のみならず我が国のためにも50年後、100年後を見据えた京都創生の実現に向け、引き続き全力を傾注して参る決意を申し述べまして、147万人の京都市民になりかわってのごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

　ありがとうございました。それではここで京都創生百人委員会の梅原猛世話人代表からお話を頂戴致します。梅原先生は京都創生懇談会の座長として京都創生の提言をとりまとめられました。また文化勲章を受章され、日本を代表する哲学者であり、現在も国際日本文化研究センターの顧問として御活躍されておられます。では、梅原先生、よろしくお願いします。

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