パネルディスカッション | |||
吉澤 | ありがとうございました。では、田中さん。さっきちょっと、続けて観光施策とかそういったことでおっしゃりたいことがあるということでしたね。それをお願いします。 | ||
田中 | はい。時間もありませんので簡単に。今回、京都市の新しい観光振興推進計画の中では21の戦略的施策と100の推進施策があるわけですけれども、その中でも特に、先ほど申し上げましたように、環境というものはとても大切だと私は考えますので、とりわけ京都市は環境都市宣言を出しておられるので、ぜひ環境を切り口にした新しい観光の開発や発信が必要だと思います。この計画にうたわれている、脱クルマ観光宣言は時期的にも地域的にも集中していく交通渋滞の緩和や地元住民の皆様方の安全と衛生のためにも、京都議定書のまちとしてぜひ具体化して実践をしていただきたいなと思います。それから最近、ブームとなってきました自然と環境を楽しむエコツーリズムというのがあるんですけれども、テレビのCMでは航空会社が冬の沖縄の長期滞在型のキャンペーンをされています。もちろん沖縄というとリゾート、自然、海という資源がありますけれども、京都は特に先ほど信仰・宗教のまち京都というように、もう一方のエコツーリズムの拠点としての資源があろうかと思います。そういう意味ではもう一つのエコツーリズムの拠点、すなわち団塊の世代の方が京都にお越しになって自分達のこれからの精神文化や精神世界というものを発展させていくような、それが京都のまちに来ると本当に体現できるような、そういう団塊の世代向けの観光資源の開発等も非常に魅力的になるのではないかと思います。 そういう意味ではオフシーズンがあって繁忙期があって京都の観光と言うのは通年化されてないところがまだまだありますので、これからの観光というのは滞在型であるとか通年型であるとかあるいは体験型、あるいは観光プログラムを多彩に取り揃え現地でオプショナルツアーを選び取っていく、着地型と言われているんですが、それに加えて、多くの京都ファンに長期滞在を通り越して京都に住んでもらう移住型の観光スタイルというのも大変面白いのではないかなと思う次第です。 | ||
大津 | 私、今これで京都がいいんだと、安心しているんだということは決して思ってないんですけれども、ただ、「発信=宣伝」というような捉え方をしたので、宣伝ということではなくて意識をそれぞれにもっと高めるという、そっちのほうがもっと大事じゃないかなというような意味です。安穏としているわけでは決してありません。 | ||
吉澤 | ありがとうございました。今、田中さんのお話にもありましたけれども、滞在型、移住型観光というのは良いですね。駆け足で来て、一泊二日とか日帰りでは京都は分からないでしょうね。京都は本当に奥の深いまちでして、やっぱり観光客が増えるのもいいですが、同時に質も向上して欲しい。河合隼雄先生も、滞在型観光でもっと京都の観光の質を高めたいということを言ってらっしゃったのですが、まったく同感でございます。 こうして市民の方々による本当に一所懸命な京都再生の取組がある一方で、行政でも今、本当に多彩な取組みがなされています。京都市では10月にJR東京駅八重洲口の真ん前にヤンマービルというのがありますが、この1階に京都館という、京都を宣伝する大きなショップができました。京都の伝統産業品を首都圏で、全国で買ってもらおうというものです。商工会議所は京都ブランドを発信しようというので一所懸命やっております。観光協会は京都おこしやす大学というのを立ち上げてやっております。大学コンソーシアムは東京出前講座という、これも非常に好評でとにかく首都圏、全国をターゲットに、京都の中を良くすると同時に京都の良さを他府県の人に知ってもらおうという施策を今展開中であります。今年8月には今日のこの京都創生百人委員会の世話人会が「新しい国土づくりに関する京都からの提言」というのを北側国土交通大臣に提出致しました。また国に対する働きかけというのが大きく進んでおります。ちょうど梅原先生もおっしゃいましたけれども、私達の梅原先生へのインタビューでも最後の方で、安倍総理に対して「美しい国 日本」と言うんだったら、一度京都を見に来いと先生はおっしゃられていました。確かに美しい京都無くして美しい日本は無いわけですから、私達やっぱり京都に住む人間としては、声を大にしてこれを強調させていただきたいと思います。市民の力と国の力と両輪になって、日本の心のふるさと京都というのが、これからますます創生されていくんだという気が致します。今日はあっという間でしたけれども、3人の先生方どうもありがとうございました。 | ||
司会 | 吉澤様、パネリストの皆様、ありがとうございました。今一度大きな拍手をお願い致します。ありがとうございました。 ここで、祝電が参りましたので御紹介させていただきます。
以上、御披露させていただきました。 それでは以上をもちまして「京都創生推進フォーラム 京都の魅力を守り、育てるために〜市民が進める京都創生〜」をこれにて終了させていただきます。今、私達が住んでいます京都は、世界に誇れるまちでございます。これからの21世紀に向けての指針となる価値ある御講演やパネルディスカッションを通じまして、さらなる道が開けたのではないかと感じております。これからも皆様一人一人の意識と力でもって、京都のまち全体を世界遺産に認めていただけるよう推進していこうではありませんか。 本日はお忙しい中御参加くださいまして誠にありがとうございました。 |