文化分野:(財)京都市芸術文化協会理事 片山慶次郎 | |
ただ今御紹介にあずかりました片山でございます。我々は芸文協という具合に略称しておりますが、芸術文化協会と正式には申しまして、これは昭和56年の9月にそういう名前になりました。その前は、京都市文化団体懇話会を母体として昭和34年からありました。つまり、京都にはいろんな芸術、芸能がございます。古いものも新しいものもたくさんございます。それが一緒になって一つの団体をつくって、お互いに話し合って、伝統を維持するのも、新しいものをつくっていくのも一緒になって考えてやっていこやないかというのが芸術文化協会の底に流れている趣旨でございます。ただ今のところ、団体としてはおよそ190の団体、個人としてはおよそ80名の方が会員として参加していただいております。私自身は能楽師でございまして、伝統芸能部門という中で参加させていただいております。 皆さんもよく御存じのように、京都というのは昔からそうなんでしょうけれど、古いものと新しいものとが適当に共存しているところです。ただし、今日のようなテーマの京都創生推進フォーラムというような時には、これは別々に共存しているだけでは絶対に大したものにはならんと私は思います。ですからそこでいろんなことを皆が、各分野の芸能人あるいは芸術家が寄り合いまして、自分らのやっている、私なら単に能をやっているだけですけれども、他の分野のバレエの方、あるいは踊りの方、琴、それからお花、それから現代の小説までずっとたくさんあります。その方々と色々話をして、何か新しいものを京都の中からつくっていけるということができた時に初めて、京都創生フォーラムというのが意義あるものになるのだと思っております。中々難しい事ですけれども。 話が横へそれたようでございますけれども、時間もございませんので、こういうことを根底に考えるのが私は芸術文化協会であろうと思って、その代表としてお話し、報告させていただきました。どうもありがとうございました。 | |
司会 | ありがとうございました。それでは最後に京都商工会議所副会頭で京都市観光協会の道端進会長から報告を致します。道端副会頭よろしくお願いします。 |
観光分野:京都商工会議所副会頭 道端 進 | |
ご紹介いただきました京都商工会議所副会頭の道端でございます。一方では、京都市観光協会の会長を司っておりますが、本日は京都商工会議所の立場で、その活動についてご報告申し上げます。 京都商工会議所は、村田会頭が会頭に就任と同時に、美しい自然を生かし、人に優しく、そして感性豊かなまちづくりを進める「美感都市・京都」の実現を、あらゆる事業の基本理念に掲げて活動してまいりました。なかでも観光は、21世紀の京都を担う基幹産業として成長することが期待されており、美感都市づくりへの活動を通して、全国、そして世界から着目され、そして魅力ある都市となるよう取り組んでおります。先ほど、桝本京都市長からご報告がありましたが、昨年の京都においでいただいた観光客は、国内・国外合わせまして、4554万人となり、毎年その数を増やしております。今、その方々をどのようにお迎えしたら良いか、これが私たち京都市民の大きなテーマになるのではと思っています。 「信用の物差し」とも言えるブランドは、商品の良さ、デザインの良さ、またサービスの良さなどが積み重なり成り立ちますが、京都は都市全体がブランドだと言うことができます。こうした都市が世界に幾つあるかと考えても、この京都しかありません。先ほど、フィレンツェの話が少し出ましたが、それでも歴史は500年程度です。1200年を超える歴史都市で、しかも今も都市としてずっと続いている、さらに発展している都市と言えばここ京都しか見当たらないのではと思います。今後も京都という都市のハード、ソフトの価値を磨き、京都のブランド力を高めることが、観光振興だけに止まらず、京都全体の活性化につながるものと考えています。 京都商工会議所では、観光振興に向けた事業を推進しておりますが、なかでも、行政そして市民の方々と一体になって取り組んでいる中に、京都・花灯路事業があります。東山地域を会場として始めたこの事業も、今年度は12月9日から嵯峨・嵐山地域でも実施することとなり、国内外の皆さんに来ていただき、新しい京都の美しさを楽しんでいただこうと思っています。また、その嵐山地域には、小倉百人一首の殿堂となる「時雨殿」を現在建設中であります。素晴らしい施設とするために若干工事が遅れておりますが、間もなくオープンできることと思います。また、建造物や看板、電線などによる景観が、国際観光都市として相応しいものになるよう、京都市とも一緒になって整理を図っていく必要があるのではと思っています。 御承知のように、京都は幾度ともなく火災や地震に遭い、都市存亡の危機に直面しながらも、その都度、町衆の力によって町を盛り立て、さらに発展させてまいりました。まちのあちこちに、そうした歴史の1コマ1コマが刻み込まれ、その時代と変わらず佇んでいます。皆さんが木屋町通り一つ通られても、大村益次郎を筆頭に、時代を大きく動かす様々な歴史に出会い、そして学ぶことができるでしょう。ただし、そうしたことをご存じない京都の人が大変多い現状の中で、諸外国から、または国内からお見えになるお客様に対し、案内し、説明し、そして温かい気持ちでお迎えすることができるかといえば極めて疑問であります。私たちはこの素晴らしい京都に住んでいることに感謝の気持ちを持って、お見えになる方々に対しておもてなしができればと願っているところです。 また、先ほど片山さんからお話がございましたが、芸術、文化の面においても京都ほど素晴らしい都市はありません。匠の技に支えられた伝統技術、洗練された食文化をはじめとして、京都だけに培われた芸術、文化がたくさんございます。そうした京都に住ませてもらっていることに感謝し、京都を盛り上げていかなければいけないのではないかという気持ちをあらためて感じる次第です。 京都に強い憧れを持ってたくさんの方々がお見えになる中で、最高のおもてなしをするのは京都市民の務めであり、言うに及ばず京都企業の務めでもあると思います。しかし残念ながら、京都が昔から培ってまいりました生活文化が廃れつつあるのも確かなことであります。私たちが幼い頃、門を掃いて、水を撒いて、そしてそこを通っていかれる周囲の方々に対して、「おはようございます」、「行ってらっしゃい」、「おお、今から行ってくるわ」というような御近所のお付き合いが、今どこへ行っても見られなくなりました。生活様式が変わったわけですから致し方ないとはいえ、余りにも変わり過ぎたのではないでしょうか。着物の町であった室町が、今、マンション街に変わりつつあります。そしてそのマンションを拝見すると、最近は畳の部屋がほとんどありません。こんなところに、京都の文化が人々の生活から忘れ去られていくのではないかと危惧するのは、私だけではないと思います。地域住民が互いにお付き合いし、住民としての自覚と結束を高めるよう再生させてこそ、京都は穏やかな、心優しい、相手を思いやる町になるのではないでしょうか。またこれが、日本文化を伝承していく私たち京都市民の務めでもあるのではないかと感じています。 このほど、京都・観光文化検定試験の取り組みを評価いただき、京都市の教育委員会では次代を担う子どもたちに京都に関する勉強と体験の機会をつくり、素晴らしいまちづくりを実現する仕組みとして、ジュニア京都検定を創設されるに至りました。 | |
司会 | ありがとうございました。 |